新型コロナウイルス感染症により、不織布マスクが不足し、手作り布マスクの需要がグーンと伸びました。カテゴリーの垣根を越えて、多くの作家さんが「自分ができることで…」と、布マスクを製作し販売をして需要に応えています。
と、書くと非常に美しい話なのですが、売り方やら何やらと、人気(注目)が高まればアンチも生まれるわけで、ゴタゴタも垣間見れました。
これだけ需要があるのなら、私もやってみようかな?なんて思う人もいるので、マーケティングの視点から、手作り布マスクのこれからについて書いていきます。
流行り物を作品ラインナップに取り入れ販売する時にも使えますので、ぜひ活用してください。
流れに乗る(製品ライフサイクル)
物には流行り廃り、要は寿命がある

物には流行り廃り、要は寿命があります。それが分かるのが、製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル/PLC)です。時間経過で売り上げの変化を見る考え方です。
このPLCを使って、手作り布マスクの需要を見ていきます。
PLCには4つの段階があります。
導入期-市場に出始めた時。
成長期-浸透してくる時。競合が増える。
成熟期-ニーズが頭打ち。
衰退期-売上が落ち始め、値引きが始まる。
『成長期』から、競合(ライバル)は増えていていく一方。そして、物が増えると同時に、お客さまのニーズも深まり「とにかく欲しい」から「自分に合うものが欲しい」へと変わっていきます。
流行に乗るには、遅くとも『成長期』の前半に販売を開始していないと稼げません。
現時点(2020年5月)での手作りマスクは成熟期です。今から手作り布マスクに参入をしても遅いですし、これ以上の売上の伸びはない。と読み取れます。
見極め力(製品ライフサイクル)
一般市場を敏感に見て感じる

手作り布マスクの販売に関して、すでに現時点(2020年5月)で成熟期である。と前項で書きました。
今回は、その理由についてです。
理由はシンプルで、不織布マスクが買えるようになってきたからです。(スーパー、電気屋さん、ホームセンター…私が見た限り、これだけのお店で販売しているを見ました。)
手作り布マスクを買いたかったのは、不織布マスクが買えなかったから。いわば、代用品。機能も性能も利便性も、手作り布マスクより高い不織布マスクが手に入るのであれば、手作り布マスクを買う必要はありません。
だから、あとは衰退の一歩を辿るだけ。
今から手作り布マスクに参入しても、市場は飽和状態。値引きも始まっています。何かしらの理由(オシャレ,センスが好き,肌疾患があり不織布がダメ。など)での買い替えや買い増しくらいで、今以上の売上が出ることはありません。
どのタイミングで販売するのが良いのか。それは市場を敏感に見て感じることです。ハンドメイドは仕入れと製作の時間が必要になります。流行を取り入れるなら、アンテナを張りましょう。
売れる販売を始めるタイミング(イノベーター理論)
消費者がモノを買うタイミングをタイプ別にわける

出品するのなら、ベストなタイミングで販売を開始したい。と思うのですが、「ベストなタイミングっていつよ?」と思いますよね。
マーケティングにおける、イノベーター理論を使って、ベストなタイミングを計っていきましょう。
イノベーター理論とは、前回までの製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル/PLC)を元に、消費者の買うタイミングで消費者のタイプを分ける理論です。が、ここでは、販売をする側であるあなた側に沿って、当てはめていきますね。
タイプは5つに分けられます。(『導入』を『購入』に変えると、消費者視点になります。)
イノベーター:最も早く導入する。
アーリーアダプター:流行に敏感で、積極的に導入する。
アーリーマジョリティ:導入は慎重だけど比較的早い。アーリーアダプターの影響を強く受ける。
レイトマジョリティ:新しい事に消極的で、疑い深い。大多数が導入する様子を見て導入する。
ラガード:保守的。伝統性にでもならないと導入しない。
大多数は、アーリーマジョリティとレイトマジョリティに分類されます。
売上を出すためにナイスタイミングで販売を始めるなら、せめてアーリーアダプター。前々項に「流行に乗るには、遅くとも『成長期』の前半に販売を開始」と言う理由がこれです。
商機を捉える(新規顧客獲得)
お客さまを一見さんにしない。買ってくれた理由を考える。

せっかく手作り布マスクを販売するなら、新しいお客さまとの出会いのチャンスにしたくないですか?今回は、その方法をまとめていきます。
これだけ手作り布マスクが増え、現時点(2020年5月)で成熟期ともなれば、お客さま側は選びたい放題です。
「せっかく買うのなら、自分の好きなセンスの物を選びたい。」
と、思うのが自然です。気に入らないものに、わざわざお金を出して買って、イヤイヤ身に付けるのは、切羽詰まった物が無い時だけ。
ですから、飽和状態ともいえる中でお買い求めいただいた。という事は、あなたのセンスが好き。と言う可能性は非常に高い。
ご購入後に、出品者側からの「不具合はございませんか?」といった働き掛けをするようにしましょう。普段、違うカテゴリーの作品を販売している人が、違うカテゴリーの手作り布マスクを作っているのなら尚更、お客さまは時間経過とともに忘れちゃいます。
アフターフォローすることで、レビューの記入や2回目の購入へと繋がりやすくもなります。1回のご縁を大切にしてくださいね。
信用信頼(引き際の美学)
信用信頼は引き際でわかる

手作り布マスクの販売を開始したはイイけれど、ポツポツと売れていたりすると、終わらせたいけど終われない。いつ、どのタイミングで引き下げればいいか、悩みます。
喜んでくれる人が居るなら。と、思って販売を続けてしまうのですが、引き際の美学があります。スパッ!と切ってしまった方が、その後の信用信頼に繋がります。
手作り布マスクを販売していても、違和のないカテゴリ―であれば、作品ラインナップにあってもいいんです。ですが、違うカテゴリー(アクセサリーとかね)なのに、いつまでも手作り布マスクが並んでるって「あー…。売りたいのね」って冷めた目で見られちゃいます。
違うカテゴリーで布マスクが作品ラインナップに並んでいてもおかしくないのは、需要がある時だけ。現時点(2020年5月)で成熟期ともなれば、そろそろ不信感が出てきます。
商売は信用信頼です。
もし、リピーターが居るのなら、その方だけにお売りできるよう、他の方法での販売を行い、「あなただけ特別」感にしてあげると、喜ばれます。
製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル/PLC)←最初の項における衰退期は、撤退の見極めと既存あるいは新規顧客の維持が重要ですよ。